源流大学とは

源流学の新たな使命とふるさとづくり

2019年暮れからのコロナ禍は、全世界をパンデミックの脅威をもたらし、3年を過ぎた2022年3月現在も新たなオミクロン変異株による第6波のパンデミックが続いています。また、ロシアによる信じがたいウクライナへの侵略が続いています。想定外の中で、私たちの暮らしは、高度な資本主義社会から一転してニュー・ノーマル(新たな生活様式)や気候危機の中で、カーボンニュートラルでも明らかなように、循環型社会への急速な転換が課題となっています。人類史上はじめのグローバルな転換期となっています。それは、SDGsや第4次産業革命あるいはソーシャル5.0など、AIやIoTなどによる高度な情報技術と先端科学技術を組み合わせた、ロボット社会を目指そうというもので、無人タクシーや電子カード、さらにはスマート農業やスマート林業などにその礎石をみることができます。それにコロナ禍というウイルス感染社会が加わって、安心・安全な暮らしへの関心がよりまして高まりをみせています。

こうした転換期にあって今までの経済効率至上主義から暮らしや環境を優先する環境至上主義への転換を重視する時代になってきました。都市を離れたワーケーションや暮らしの田舎志向などへの関心の高まりは、今まで以上に源流域への関心を高めています。このところ多くの若者たちが過密で息苦しい都市環境から豊かな自然環境や暖かい源流文化を求めて移住する傾向にあります。清涼な空気や清らかな清流、そして優れた自然環境と暖かい源流文化は、高度に情報化され、ストレス過剰な日常から安心・安全で、心身にゆとりある日常を創出させ、人間らしい暮らしを可能とします。もちろん、都市から源流への移行の段階で自らが納得し、源流の伝統的な暮らしの環境に鋭意順応するための努力が必要です。他方、受け入れる源流も都市の人たちを受け入れる心構えも少なからず必要といえます。こうして源流のコミュニティは、新たな人たちとのナチュラルな交流(物質循環あらぬ交流循環)をとおして新源流コミュニティが少しずつ形成されます。

 これからの源流づくりは、安心・安全で、生き甲斐のある健康な生活環境、都市と農山村、源流と下流が一体となった新しい流域コミュニティの形成にあるといえます。今求められている循環型社会で大切なことは、地域づくりに自主的に参加し、対等な交流・連携が発展するような慣習ではないかと考えます。循環型社会を支えるものは、共生する地域コミュニティであり、自由と共助による生活文化が欠かせません。また、その原型は源流域にたくさん保たれています。環境保全型の農林業による「本物のものづくり」や自然共生型の暮らしの知恵や技は新たなコミュニティ形成の元になるものです。

源流大学は、新たな源流コミュニティ形成を目指して、源流の知恵や技を科学し、体験学など実践教育を進めながら、源流に日本のふるさとを再生することを一つの目標に実践し行きます。たくさんの皆さんの参加を期待しております。

源流大学事業責任者 宮林 茂幸

目標

人から聞いたり見ただけで理解したつもりになりがちな「もの」や「情報」に溢れた現代社会において、暮らし・食の根源を体験することは、とても難しくなっています。源流大学は、多様な文化、自然、人材が一体化する源流域、小菅村で行われる体験学習を通して、本物に触れ、根本を知る学びの場と気づきのきっかけを、すべての人へ提供することが最大の目的です。ここには「自分独りでは何も分からない」ということが「分かる」、実践力を与えてくれる授業があります。積極的に小菅村や他の源流域での体験プログラムを発信し、大学や県といった垣根を越えて、より多くの方々が参加できる環境を整えてまいります。

活動

知識だけでなく、生きた知恵を次世代へ
源流域での体験学習を行うことで、その地域に関わる住民と学生、また上下流域に暮らす人たちの交流を促し、お互いに無いものを補える流域全体の繋がりや、豊かな源流資源の活用を意識できる人材の育成、コミュニティづくりを図り、ひいては農山村の「地域おこし」を目指します。目先ではなく100年後の日本の循環型社会を実現するための知恵を、着実に継承していきます。

学部

体験を通して学び深めることを基本とし、それぞれの学びには食・考・遊・創などを分類の切り口とし区分しています。
これから関わる人たちによって学部の名前も区分も変容していく形で、学びを創出していきます。