【活動報告】10/8,9開催水源の森再生プロジェクト#6 ~昔の石畳を極める~

 10月8日(土),9日(日)に水源の森プロジェクト第6回「昔の石畳を極める」を開催しました。

これまでに引き続き、北陸や九州など遠方からもお越しいただき、総勢50名近くでの作業となりました。

 昨年度6月から実施している水源の森再生プロジェクトは、かつての「山に向き合う姿勢・視点」を養い、自然を読み解く観察力を身につけることを目標にしています。講座中には「山を向き合う土木造作」を実践し、スギ・ヒノキの人工林を落葉広葉樹の入り混じる水源涵養力豊かな森に戻していきます。

 初回は道づくりから始まり、石積みの施工、広葉樹の苗木の植樹などをこれまでに実施しました。年3回計12日間と決して多い活動日数ではないですが、毎回50名近い人数で集中して作業を行った結果、早くも山の環境は大きく変化しています。

 昨年の10月の講座では、昔から残る石積みを修復しました。この夏の大雨の後、水が湧き出すようになりました。しかも、湧き出した水は数メートル流れた先で、焼き杭を伝って地面に浸透しています。

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 今年の春には、早くもコナラやカシの実生が芽吹いていたり、おそらく昨冬の講座時に杭に使った生木のシイがその場に根を張って新たな芽を出していました。スギ・ヒノキの針葉樹だけだった森が涵養力を取り戻して、多様な樹種の入り交じる森に変化し出している様子が色々なところに見られはじめています。

コナラの実生
杭から芽吹いたシイ

今回、石畳を施したのは、水源の森の入口から続く道です。人が何度も通る道は、石畳にすることで、人が歩いても踏み固められず、降った雨が地表を流れることなく水が石を伝い、土中に浸透する道になります。

 現場には、石がたくさんあります。以前桑畑であった時期があり、その際に邪魔になった石を一か所に集めて、そのまま残されていたようです。石も、ただ地面に積んで置くだけでは、土地に馴染まず不安定なままです。しかし、石積みや石畳を組み、土地と一体となるように施工することで、水を土中に導き水源涵養力を高める機能を持つ場所に変化します。

 現場の山林にある大量の石は、皆で一列になってリレーで作業場所まで運びます。重い資材を持って大人数が動くことで地面を痛めないように気をつけてのことですが、少人数では難しい作業も、50名近くの人が集まった講座だからこそ可能になり、みんなで楽しく資材運びができました。

 第1回の講座から毎回大事にしている作業は石畳でも同じです。斜面の傾斜をそのままにせず、水平な段を切って水が斜面を走らないようにする。それから炭や燻炭や落ち葉を敷く。今回は藁も使いました。さらに、大きな石を敷き詰めたあとに「瓦」をすき間に差し込みました。工場の廃棄物になってしまう瓦も、資材として再利用できるのだそう。

 いざ取り組みはじめると難しい石畳づくりですが、1人が1,2メートル作業するだけでも50人で計100m。

階段状にしたり、スロープ状にしたり、その地形にあったやり方を考えながら試行錯誤するので、土地の状態を読めるようになることの重要さを改めて感じる作業でした。

 初回から毎回手を入れ続け、大きく姿を変えていた水源の森の入口から続く道は、さらに石畳の道へと生まれ変わりました。

 最後に、高田さんのチームが現在活動をおこなっている箱根をはじめとした古道に残る石畳の写真をみながら石畳についての座学講座をおこないました。

 石畳の築き方の第一歩を実践してみて、本物の石畳を写真で見て説明を聞くと、自分のやった作業が土中に対してどういう意味を持つのか、一つ一つが繋がった気がしました。

私も箱根の古道は一度行ったことがありましたが、今見たら今までになかった視点で見られると思うので、近々また行ってみたいと思います。

 3年目となる来年は、春から講座を行う予定です。講座の開講はしばらく空いてしまいますが、源流大学のFacebookやこちらのホームページで、森の様子などをお知らせしますので、ぜひご覧ください。

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